野村証券のシニアストラテジスト、西山賢吾氏が「2012年6月の株主総会プレビュー」を発表いたしました。同報告書のサマリーをご紹介いたします。
「日本企業に対するガバナンス不信を払拭し信頼を回復する契機に
昨年の一連の企業不祥事は、日本企業のコンプライアンス、コーポレート・ガバナンスに対する株主・投資家の不信を結果的に生んでしまった。12 年6 月に開催される株主総会の場においては、各企業がガバナンス体制を整備し、その水準を高めるための姿勢と取り組みを説明することにより、彼らの不信感を払拭して日本企業への信頼を回復するきっかけとなることが期待される。特に、コンプライアンス、ガバナンス体制を整備・構築し、積極的な情報開示を通じた株主、資家とのコミュニケーションをさらに充実させていくことができる企業は、その信頼と評価を高めることができるであろう。
注目される議案
12 年6 月の株主総会において最も注目される議案は、役員選任、特に社外役員(社外取締役、社外監査役)の選任議案となろう。経営陣に対する監督機能が期待される社外役員については、経営陣からの独立性が特に重視される。機関投資家の議決権行使ガイドラインにおいても、独立性に対する基準は従来以上に厳格になっている。このため、企業には独立性に関し丁寧、かつ詳細な説明が求められる。また、役員への報酬や退職慰労金に関しても株主、投資家の関心は高いが、これらの議案に関しては、業績との連動性や支給プロセスについて、株主や投資家が納得できるような説明がなされることが求められる。さらに、年を追うごとに反対比率が上昇している買収防衛策に関しては、機関投資家のスタンスは引き続き厳しいため、今年も反対比率が高くなると考えられる。
昨年一定の賛成を集めた株主提案にも注目
株主提案に関しては、11 年6 月総会で一定の賛成を集めた、役員報酬の個別開示や、議決権行使書におけるいわゆる「白票」の取り扱いに関する議案が今年も出されており、さらに賛成比率が高まるかどうかが注目される。
個人投資家の役員関連議案に対する見方が厳しくなる
野村證券が個人投資に対して行った議決権行使の意向調査の結果を見ると、個人投資家の議決権行使への関心はやや低下しているように見える。しかし、議決権を行使するとの回答者を対象に反対する可能性がある議案を尋ねたところ、役員報酬や役員選任といった役員関連議案と回答した割合が昨年より高くなっている。企業業績や経営の方向性などに関心を向ける個人投資家が増えるとともに、彼らの求める経営成績を上げられなかった経営陣に対しては、その報酬や役員選任(再任)に対し、厳しい姿勢を取ると考えられる。」
報告書をダウンロード: http://bdti.mastertree.jp/f/xl7o054k
(ページが白く見えても右下の、「アセットのオリジナルをダウンロード」をクリックしてして下さい)