White & Case のメモより – 「 2011年3月11日に日本の東北・関東地方を襲った大地震及び津波の被害により、想定内及び想定外のものも含め、世界各地で産業への悪影響が生じている。被災地では数え切れないほどの製造施設が物理的な損傷を受け、更に停電による損害の回避や原材料不足を理由として多くの施設が一時的に操業を停止したため、物資の価格上昇及び供給減少によってサプライチェーンの混乱が発生した。経済に対する長期的な影響は未だ評価の定まらないところであるが、今回の震災の余波が世界中の多岐にわたる産業に現に波及していることは明らかである。
本震災の発生を受け、「当事務所では、締結済みではあるがクロージングを迎えていない契
約を解除することができるか」、「条件等の再交渉を求めようとしている相手方当事者に取引をクローズすることを強制できるか」、「供給契約上の不履行を回避できるか」、「相手方当事者に不履行があると見なすことができるか」、といった事項について、クライアントから多くの契約書について検討の依頼を受けている。また、日本国内の会社を対象とするM&Aのデューディリジェンスレポートについては、当事務所で3月11日以降に手掛けたものは全て、地震及び津波の影響並びに放射線に関連する不確実性について法務的見地から検討する項目を含んでいる。
本クライアントアラートでは、こういった問題に関連する日本、英国及び米国の法原則、
並びに、これらのリスクに対応するために一般的に用いられる二つの契約条項、すなわち
①不可抗力(Force Majeure)条項と、②MAC(Material Adverse Change)又はMAE (Material Adverse Effect)と呼ばれる条項(MAC条項及びMAE条項は厳密には異なるが、しばしば同義で用いられるため、本クライアントアラートでは「MAC条項」と総称する。)について概説する。」