CFOのための最新情報: 「開示の重複はホントに排除されるのか?」

今年6月に閣議決定された『日本再興戦略』(改訂2015)において、「統合的開示に向けた検討等」と題して、開示の重複排除等の検討を今年度中に行うと書かれていました。

企業の情報開示については、投資家が必要とする情報を効果的かつ効率的に提供するため、金融審議会において、企業や投資家、関係省庁等を集めた検討の場を設け、会社法、金融商品取引法、証券取引所上場規則に基づく開示を検証し、重複排除や相互参照の活用、実質的な監査の一元化、四半期開示の一本化、株主総会関連の日程の適切な設定、各企業がガバナンス、中長期計画等の開示を充実させるための方策等を含め、統合的な開示の在り方について今年度中に総合的に検討を行い、結論を得る。

コード制定後、コーポレートガバナンス報告書の英語版を提出した企業は何社でしょうか? 全体の約10%に過ぎません

ガバナンス・コートは英語の情報開示を促しているが、直近12ケ月の間、東京証券取引所(TSE)にコーポレートガバナンス報告書の英語版を提出した企業数は15社に過ぎません。(中にはガバナンス・コートの制定後に提出した企業はその約10%に当たる10社あります。

ZUU online:「コーポレートガバナンス報告書~コード適用後1か月の提出状況~」

「当該30社のうち、20社がすべての原則をComply(実施)するとし、残る10社が特定の原則についてComply(実施)しない理由をExplain(説明)している。それぞれの具体的な企業名は図表1のとおり。

10社がExplainした「実施しない原則」は延べ36件。そのうち29件は、「現在検討中」、「来年度実施」、「今後の検討課題」といった検討状況や実施時期の説明である。提出時点ではExplainとして記載はされているが、今後、Complyが予定ないし期待されるものであり、実質的にはComplyと同義であろう。

大和総研コラム:「取締役会の実効性評価とその開示」

「ここでは、取締役会評価(※1)について、どのようなものとなりそうか考えてみたい。求められているのは「分析・評価」と「結果の概要を開示」することだ。海外の事例を見ると、分析・評価は、取締役や業務執行部門への質問票調査や聞き取り調査を行うようである。質問票は、たとえば取締役会の頻度・日時などが適切か、議題の資料・審議時間などは適切か、経営戦略の方向付けを適切にできたかなど多くの事項について“very good”を5点、“very poor”を1点とするなどの方法で数値化するものだ。わが国でも、取締役会評価用の質問票ひな形がいずれ出回るのではないだろうか。

兼任取締役・監査役の状況

最近のデータを分析しタ結果、上場企業の兼任取締役・監査役の状況は以下の通りです。過去の数字を分析したことがありませんが、年々兼任する役員の数が上がっていると言われます。私見ですが、4社以上で社外取締役に務めている人は、他の日々の仕事がなくても、その一社でも有事になった場合には社外取締役としての責任を果たすことがとても難しいと思います。

兼任取締役・監査役 (2015年5月)

対象上場企業数
    3,464社

(A) 取締役・監査役の総数 (席)
 38,134人

(B) 兼任取締役・監査役の数(席)(2社以上)
  5,399人

(C) 社外取締役・監査役の数(席)
  12,447

(D)   (B / A)
     14.2%

(E)   (B/ C)  (殆どの兼任役員は社外者である。)
     43.4%

(F)  兼任役員の平均役員席
  2.46席

(G)    兼任取締役・監査役の数(4社以上)
    570席
  (146人)

(H)   (G / C) (殆どの兼任役員は社外者である。)
      4.6%

(I) 兼任取締役・監査役の数(人)(6社以上)

      97席
  (16人)