コーポレート・ガバナンスについての部分の抜粋は以下にあります。ちょっとこちらに不思議に感じるのは、コーポレート・ガバナンス・コードを導入することを視野に入れないまま、日本版スチュワードシップ・コードを導入する方針であるようです。(以前から、コーポレート・ガバナンス・コード又は同じ役割を果たすものあない国として、日本はとても珍しい存在です。)
リンク: http://www.fsa.go.jp/singi/kasseika/20131213/01.pdf
「3-2.企業の中長期的な競争力強化・経営力向上に向けた企業統治強化
金融・資本市場と実体経済とが「車の両輪」として発展していく
ためには、金融・資本市場の改革と企業の競争力強化とが中長期的
に並行して進められていくことが必要であり、企業の経営力向上が
不可欠である。また、本邦企業の競争力や経営力について海外投資
家からの信頼を獲得することも重要な課題である。
2020 年の姿としては、成長企業、企業内における成長事業につい
て、活発かつ健全な新陳代謝や再編が行われ、広く再チャレンジが
可能となり、さらには、新たな産業が活発に勃興・成長する社会を
実現することを目指す。また、中長期的視点からみた投資対象とし
ても魅力の高い、真にグローバルな企業が数多く繁栄している経済
社会を目指す。
こうした観点から、直ちに以下の課題に着手するよう提言する。
企業自身が、生産・営業等の現場におけるチームワークや高い技
術力といった「現場力」などそれぞれの経営上の「強み」・「弱み」
を見極めつつ、成長力を有する部門の選別、経営資源の集中といっ
た経営構造改革に向けた取組みを進めるよう促す。さらに、質の高
い企業統治を実現し、国際的に遜色のない株主資本利益率(ROE)
を確保すること等により、企業の競争力強化を実現する。このよう
な取組みを促進し、本邦企業の高いROEを実現する観点から、J
PX日経インデックス 400 の連動商品の開発・普及がインセンティ
ブ付けとして有効であると考えられる。このため、GPIFなどの
資金運用に幅広く利用されることが重要である。
質の高い企業統治を実現するためには、本年 11 月に国会へ提出さ
れた会社法の一部改正法案や 2014 年2月に実施予定の東京証券取引
所の上場規則改正案を踏まえ、社外(独立)取締役の導入促進を図
るべきである。また、こうした動きを踏まえ、金融機関に対する監
督においても、上場している銀行及び銀行持株会社について、独立
性の高い社外取締役の導入を促すことが必要である。
また、アセットマネージャー(運用会社)や、アセットオーナー
(年金基金等)などの幅広い範囲の機関投資家は、企業との建設的18
な対話を行うことにより、経営力向上に向けた取組みを促進するこ
とが望まれる。このため、現在検討されている日本版スチュワード
シップ・コードを速やかに策定し、機関投資家によるコードの受入
れとコードに基づく開示状況を金融庁が取りまとめ、一覧性のある
形で公表するとともに、国内・海外にわたる周知を徹底する必要が
ある。
さらに次の段階においては、以下の施策・課題の具体化に取り組
むよう提言する。 まず、成長性に着目したマーケット指標の更なる開発・定着が、
成長企業の新陳代謝を進め、企業内における成長部門の選択と集中
にインセンティブを与える観点から有効である。また、企業の健全
な新陳代謝の観点から、事業再編・倒産等の在り方について、例え
ばドイツなど海外の動向も参考にしつつ、検討すべきである。
企業統治の強化については、会社法の一部改正法案の附則を踏ま
え、一定期間後には、社外取締役の選任状況等を勘案し、企業統治
の在り方について検討を加え、更なる対応を検討すべきである。
日本版スチュワードシップ・コードについては、機関投資家によ
る本コードの受入れ・開示を含む実施状況等を踏まえ、定期的な見
直しにより本コードの更なる改善を図るとともに、定期的な見直し
を通じて機関投資家の意識を高め、それにより本コードの更なる定
着を図っていくべきである。