私が日本でコーポレートガバナンス・コード(CGC)を最初に提唱してから、はや10年以上も経っています。今ではCGCに関する議論は広く行われていますし、ダイバーシティ(多様性)の考え方も社会に浸透しつつあるように思いますが、10年前は決してそうではありませんでした。CGCが導入されるまでには多くの人が関わっていたのですが、最近、ChatGPTなどのAIに聞くと、私の知っている事実とは異なる説明がなされるようです。しかし私も関わった導入に至るまでのプロセスは、コーポレートガバナンスについて考えている人のみならず、この国を、この社会をよい方向に変えていこうとする人にも参考になるものだと考えて、CGC導入の背景や意義、どのように「ダイバーシティ」が提案されたのかなど、私の知る「舞台裏」をご紹介したいと思います。
自民党・塩崎恭久氏に提案~会社法改正議論の打開策として~
2013年10月、私は自民党の塩崎恭久代議士(当時)に会って金融庁主導のCGC策定を提案しました。その後も塩崎さんには何度も会い、幾つもの電話やメールを交わしてCGCの構想とは何か、スチュワードシップ・コードとCGCは「車の両輪」の関係にあることなどを説明しました。次の(1)〜(4)のリンク先から、塩崎さんにCGC構想を説明した際のメモをご覧いただけます:(1)サマリー、(2)予算が要らない、最大に評価される三本目の矢、(3)メモの追記、(4)諸外国の例。
CGC提唱のキーポイントその1:コンプライ・オア・エクスプレイン
2013年当時、会社法改正に向けた議論が進められていました。ですが、私も含めて大勢の人が参加した幾つもの会議において、議論が膠着状態に陥っていました。打開するには発想転換が必要でした。隘路になっていたのは、民主党政権が推進した案、たった一人の社外取締役の義務付けるかどうかについての(私からすれば)不毛な議論だった。ところが、ある時点の改正案には、産業界がいやいや同意した「義務付け」ではなく、一種の「コンプライ・オア・エクスプレイン」原則に相当する文言があったのです(その当時、産業界はこれを軽く見ていたのだと思います。「『監査役で十分だ』とエクスプレインすればいい」と言っていたことを覚えています)。
私はこの原則が打開策になると考えました。2013年10月8日、Wall Street Journal に「アベノミクスが必要とする改革とは」という記事を寄稿し、コンプライ・オア・エクスプレインの原則を採用したCGCを提案しました。その内容を塩崎さんにも会って伝えました。それまでの塩崎さんは、会社法改正の議論では社外役員の義務付けに拘っていましたが、私は「すぐには義務付けない方がむしろ良いと思う。産業界がこの文言を受け入れることで、『コンプライ・オア・エクスプレイン』手段は日本のガバナンス政策議論の場に入った。この手段を使えば、将来的に遥かに広い範囲を渡る『コーポレートガバナンス・コード』を制定できる」と説得して、塩崎さんもそれを受け入れてくれた。それから10年、日本でもコンプライ・オア・エクスプレインの原則が大いに活用されていくことになります。
CGC提唱のキーポイントその2:金融庁が担当すること
上記(3)「メモの追記」のとおり私はCGCの策定プロセスを経済産業省ではなく金融庁に委ねるべきであると強調しました。その理由は、金融庁はCGC策定について法律上の管轄権権があるのが明確だったからです。一方、経済産業省は法律上の管轄権はないどころか、私の印象では、どちらかというとその時点まで日本の企業ガバナンス改善に関して総論で賛成しながらも、各論で反対するに近いように思われたからです(昔から、産業界が望む方向にあらゆる政策の梶を取ってきた官庁である)。2013年当時から遡ること8年ほど前から、経済産業省の方々は私に会うたびに、「ベネシュさん、あなたの言う通りで、社外取締役の導入が必要です。でも、先に経団連を説得してくれないか?」といった無理なことをお願いし続けてきたのです。もし経済省が担当官庁になれば、CGCが握りつぶされたり、骨抜きになるおそれがありました。
だから、塩崎氏には「金融庁に担当してもらうのが絶対に良い。金融庁は法律で管轄することが明記されているのだから断れないはずだ。官僚は、あなたのような自民党幹部が強い指示を出せば、最終的にいい仕事をしてくれるはずだ」と意見したのでした。私が伝えたアドバイスは他にも色々あります。OECDの専門家を呼ぶのがいい、有識者会議の構成として、どのような属性のメンバーがどの程度いるのが望ましいか、などについて自分なりの意見を伝えました(産業界のみならず、機関投資家やガバナンスの専門家、外国人のファンドマネージャーを多く呼ぶのが良いといったことです)。その後、自民党の日本経済再生本部の金融調査会メンバーだった柴山昌彦さんが塩崎さんと一緒に動くようになって、金融庁が担当になる方向性がさらに加速していったと思います。
CGC提唱のキーポイントその3:Webメディアから自民党・日本経済再生本部、WSJや日経まで
そして2014年1月には私は「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」に「上場企業が目指すべきベスト・プラクティスの行動基準を」の見出しの下で日本版コーポレートガバナンス・コードの策定を提案する記事を寄稿しました。
2014年2月6日、私は自民党の日本経済再生本部の金融調査会に呼ばれました。そこでは、CGCの概念、政策としての位置付け、取り込まれるべき内容のサンプルを「日本経済の復活のため、コーポレート・ガバナンス・コードの早期制定を」(リンク先のプレゼン資料)を使って説明しました。この金融調査会は一般に公開されたミーティングで、国内外のマスメディア(例えば、WSJ)も金融庁の方も参加していました。日本経済新聞も私のスピーチについて記事を書いています。
私はこの場でも(というよりも当初から)、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードが「両輪」として機能する、CGCは金融庁主導で導入すべきであると話してました。企業のコーポレートガバナンス強化は投資市場からの要請であるし、金融庁は組織の根拠法からして、投資家を保護および証券取引所を監督する「任務」を負う官庁であり、CGC制定のイニシアチブをとるべきであることが当然と考えたからです。舞台裏で塩崎さん士が強力にCGC構想をプロモートし、金融庁や取引所にもコーポレートガバナンス・コードが必要であるとの理解が浸透したと思います。塩崎さんが政治家として素晴らしいリーダーシップを発揮して頂いたと思います。
CGC提唱のキーポイントその4:国の中枢の理解を得て「成長戦略」の最重要項目に
こうした努力がつみかさなって、2014年5月23日、日本経済再生本部の「日本再生ビジョン」(つまり自民党の成長戦略の詳細版青写真というべきもの)の中でCGC導入が提言されました。その後、CGCを制定することが同年、国の「成長戦略」の最重要な柱になったのです(成長戦略p.4やp.18などに明記)。
私は出来るだけ急いで、CGCの中身について細かいアドバイスをメモにまとめました(英語版はこちら、日本語版はこちら)。同年7月、金融庁のCGC策定担当者に着任したばかりの油布志行さんに会って説明しました。私の社外取締役経験をもとに、CGCに何を含めるべきか、お話しました。油布さん自身は役員経験はありませんでしたが、実務経験に基づいて長年「何が必要か」考えてきた私のアドバイスに耳を傾けてくれたことは、彼の広い視野と誠実な人柄を物語っていると思います。
念のため、こうしたアドバイスやメモはあくまでも私個人として、自分なりに練って提出しました。私はアメリカ人であるし、様々な組織に所属していましたが、そうした国や組織の代弁者ではありませんでした。誤解されたくなかったので、当時から、あくまで個人の信念に基づいて、個人として提案して活動していました。
「取締役会実効性の自己評価」のなかの「多様性(ダイバーシティ)」
由布さん宛のメモの中で提案した原則の一つが、「取締役会実効性の自己評価」でした。私は次のように書いています:
「取締役会の評価:指名委員会は、取締役会、委員会、CEO を含む各取締役のパフォーマンスについて、アンケート結果、独立社外取締役のみの会合による意見及びその他の意見を反映した、正式かつ厳密な年次評価を行うべきである。取締役会の評価に際しては、取締役会におけるスキル、経験、独立性、会社に関する知識のバランスや、性別を含む多様性、取締役会の組織体としての機能、その他の実効性に関係する要素を考慮すべきである。
指名委員会は、取締役会に対して、正式に評価結果を報告すべきである。筆頭独立社外取締役、指名委員会及び取締役会は、取締役会の長所及び克服すべき短所を把握することを通じて、取締役会や委員会の運営方法の変更の提案、新構成員の獲得に関する提案や現職取締役の辞任要請などを適宜行うことで、その評価結果への対応を行うべきである。
個人評価は、それぞれの取締役が継続的に実効的な貢献をし続けているか、またそれぞれの責務について献身的に取り組んでいるかどうか(取締役会、委員会その他の職務に対してどれだけの時間を費やしたかという観点を含む。)を確認する目的で行われるべきである。」
私としては、現在の日本のCGCが示す「一般原則」よりも、上記のようにダイバーシティを実効性評価のプロセスの中に取り込むことができればもっと良かったと思います。そうすれば、ダイバーシティが重要である理由として「パフォーマンス・実効性と関連性がある」ことが強調されます。取締役会は毎年行われる実効性評価に際して「どうして当社の取締役会には女性及び外国人がいないのか」について説明しなければならなくなったはずです。でも、現実のCGCにおいても、少なくとも私が使ったような言葉で「女性の活躍促進を含む多様性の確保」の語は取り入れられましたし(原則2-4)、その後の改定で、もっと具体的に(ジェンダーや国際性など)について「多様性」について書かれました。
金融庁に提出した私のメモのアイデアの中には、それがそのままCGC項目になったものが少なくない(と私自身は思っています)。例えば、社内者のみの会合、役員研修、社外取締役と監査役の協力、筆頭社外取締役、委員会の概念といったものが該当します。また、「取締役会の構成員の少なくとも3分の1は独立社外取締役」(長くなりましたが、本原則はやっと2021年のCGC改定までたどり着きました。)と言った内容も、私のアイデアとしてメモに記載されています。採用していただいたことに、感謝しています。
しかし、自画自賛のように書いてきてなお感じるのは、外野から提案するのは簡単だということです。実際に難しい調整を行ったのは自民党の塩崎さんや柴山さん、そして金融庁の担当チームだったのは間違いありません。彼らの献身的なリーダ―シップに心から感服しています(また、私が敢えて言うまでもなく、CGCが実現されたのは、多くの方(文末の注釈1参照)の長年にわたる努力の結果です)。CGC制定は、時々AIが言及することがあるように、著名な教授やMETIの尽力ではなかったと思います(とはいえ、その後のMETIはガバナンス改革に大いに貢献しているのも事実です。やはり、金融庁が担当局になって良かったと思います。CGCの政策が進むと、一種の官庁間の競争原理が良い意味で働きました)。
そしてCGCの公表・適用へ
少し話を戻し、2014年8月8日に、日本経済新聞の「経済教室」の欄に「国際標準の『指針』示せ」を寄稿しました。それ以前の7月から、金融庁とその後できた有識者会議のメンバーに対して、CGCの内容について個人として出来る限りの具体的な提言をしています。2014年10月27日には再び法と経済のジャーナル Asahi Judiciaryに「日本版コーポレートガバナンス・コードが目指すべき方向」を、2015年5月25日に同ジャーナルに「コーポレートガバナンス・コードの提案者から企業へのアドバイス」を寄稿しました。
同年5月に公表されたCGCは6月から適用され、2度の改定を経て現在に至ります。
CGC提唱のキーポイントその5:CGCの意外な背景(日本の危機に向けた処方箋)
振り返ってみれば、私が最初にCGCの策定を提案した2013年から、ずいぶんと世の中は変わりました。ガバナンスに関してだけではありません。「ダイバーシティ」に対する視点についても、CGCが社会に幾ばくかの影響を与えたと思います。一人の個人、二人の議員の提案が広がってこのように実現できたことが、日本の政策立案プロセスがより健全な方向へ、つまり合理性と分析を中心とする政治主導型の政策立案プロセスへ、変わりつつあることを物語っている気がします。
そしてCGCの背景には、さらに遡ること3年の、ある「先見の目」あるプロジェクトが存在します。
発端は、2010年に在日米国商工会議所(ACCJ)の理事として「成長戦略タスク・フォース」を立ち上げたことでした。日本は財政赤字悪化と人口減という恐ろしい課題を抱えており、その観点から我々が見ると、当時の日本政府が発表する成長戦略の類はとても乏しい内容だといわざるを得ず、危機感を抱いていました。私は35人ほどのチーム・メンバーと寄附金を集めて、まずは一橋大学の深尾京司教授に実証分析を依頼しました。深尾教授はその分析と結論を説明する97頁の論文、「日本経済再生の原動力を求めて」を書かれました。(2年後、同研究を基にした深尾教授の著作、「『失われた20年』と日本経済 構造的原因と再生への原動力の解明」が日経・経済図書文化賞を受賞しています。)
そして、深尾教授の分析に基づいてタスク・フォースが「成長に向けた新たな航路への舵取り ~ 日本の指導者への提言」*という100頁の白書を書いて、日本政府、議員、その他さまざまな方に数年をかけて説明していきました。
白書の主要な結論と個々の提言した具体策は、ガバナンスに関する提言も含め、外資系企業うんぬんのために書いたのではありません。純粋に日本経済全体の再生に不可欠と思って、その目的で書いたものでした。我々は日本経済が危機に直面していると意識していました。だからこそ、書いたものの中には、それから13年経った今でこそ社会のメインテーマになった(が当時はまだ十分に意識されていなかった)「起業を促進し、市場にイノベーションをもたらす」、教育界改革、労働市場の柔軟化、女性および外国人が働ける環境づくり政策、対日直接投資、コーポレート・ガバナンスの改善政策などのテーマが入っているのです。以下に引用します。
「成長に向けた新たな航路への舵取り~日本の指導者への提言」
(ACCJ白書、目次)
- 総論:新成長戦略のすゝめ
- 在日米国商工会議所の成長戦略タスクフォース・プロジェクト
- 希望的観測によらず、分析に基づいた政策
- 真の政治的リーダーシップの尺度
- 技術は成長の源泉
- 日本はもっと出来る!
- 実現した国の例
- 深尾・権レポート:的を射た分析
- Eberhart-Gucwaレポート:進展の兆し
- 重要な分析結果と政策的含意
- 日本の新経済戦略への舵取り
- 起業を促進し市場にイノベーションをもたらし未来の企業を創出
- 成長促進及び雇用創出の為の対日直接投資の拡大
- 全ては教育から始まる:日本の国際化、若年層の再活性化、知識産業の推進
- 税制で成長と競争力を活性化させ、生産性ある投資とイノベーションを推進
- 日本への投資を促進させる為の規制や法制度の透明性及びアクセスの向上
- 「オープンコンバージェンス」の推進でインターネット・エコノミーの最大化
- 労働流動性の向上が、世界市場における日本の競争力を改善
- 投資と成長を刺激する為の日本の移民政策の緩和
(書ACCJ白書全文をダウンロードには、以下の画像にクリックして下さい。)
「日本経済には生産性向上が急務だ」〜深尾論文とタスクフォースのインパクト〜
数年間に渡って、深尾先生の論文と本、および白書は広く政府関係者、議員、官庁等の政策立案者に読まれていったようです。タスクフォースの委員長である私にとって、プロジェクトのインパクトは想定をはるかに超えました。特に、深尾先生から教わった白書の中核的な概念、つまり生産性向上、収益性向上、経済の新陳代謝向上が日本経済再生に必須条件である、という発想は広く深く浸透しました。経済学者にとって真新しい発想ではなかったのですが、それが読みやすくまとめられていて、かつ、豊富な具体策が提言されていたのが良い結果に繋がりました。「日本には、第三者の客観分析に基づいて、政治家がリードする、説得力ある成長戦略が必要だ!」と警鐘を鳴らすことによって、アベノミクス「第三の矢」の基盤が揃ったのです。
最終的には、2014年には「人口減を迎える日本では生産性向上が急務だ」という正しい現実認識が多くの人に共有されました。そのことが、CGCに関する私の提案が実現した背景にあるのは間違いありません。逆にいえば、CGCの基盤となった発想を提供したのは官僚、あるいは、規制される側の産業界ではなく、彼らとは独立な立場にいた日本の優秀な経済専門家であり、政策実現の起点になったのです。私の案はその恩恵を多分に受けました。このことは、今後の日本の政策立案プロセスにとって極めて重要な点だと思います。
そして2015年6月に実際に導入されたCGCには、私が紹介・説明した文言が多数取り入れらました。本当に光栄に感じます。もちろん、私がなしたことなど取るに足りないことです。それでも、CGCや説明文の中に私が用いたフレーズを見つけると、誇らしく感じます。だからこそ、CGCを一つの転換期と捉えて、実質を伴ったガバナンスを正しく理解して欲しいと考えて、さまざまの無料セミナーおよび講義・活動をしました公益社団法人会社役員育成機構(BDTI)の役員研修スタンダードプログラムを三段階に増やして(基礎レベル、社外取塾、ロールプレイ)、取締役が持つべき基礎知識を学べるeラーニングコースを作成するなど、BDTIの活動の拡大に努めてきたのです。
余談になりますが、2021年から成果が出はじめ、毎年BDTIのスタンダードプログラムの女性受講率は約50%を維持できました!BDTIの理事会メンバーの38%は女性です。また、若い男性一人と外国人一人(私)もいる。DEIのいい例ではないかと思います。
DEIについて追記:不思議に感じる事
CGCだけではありません。上記の取り組みに似たような方法で、私は日本のガバナンス関連の改革に少なからず「種をまいて」きましたし、今もそうし続けています。舞台裏で行われたものが多いのですが、一部については記事を書くなどして公の場で行われました。
私自身、日本における多数の改革に相当程度関わってきたと自負を持っています。でも、現在の日本社会で多様性を良いことだと捉えられているとしたら、不思議に思うことがあります。私が提案した「多様性」の一つに外国人である私も含まれるので、私の関与によって日本をそれまでにない考え方で少し良い方向に変えられた、つまり多様性が結果に結びついた一例になるはずです。でも、私はそういった意味でよく知られ、頻繁にインタビューされ、「称賛」されたりしません。日本人は政策のオピニオンリーダーを、白人外国人ではなく、顔がよく知られ、「綺麗な履歴」の日本人に求めている、というのが私の結論です。自分で言うのはやっかみを言っているように見えるかもしれませんが、私の提案した「ダイバーシティによってより良い結果を生む」発想に反するように思えるのです。
これから社会を変えていく皆さんに向けて:CGC導入に深く関与した者として
私はCGC導入に関与しました。もっぱら個人として、長く住んだ日本の危機を救う処方箋の一つとしてです。2010年頃からの長期戦で、その過程では塩崎さんをはじめ、多数の方との協働がありました。純粋な動機から始まったものが、深尾教授らの協力を得て、多数の政府関係者にも伝えていったことで、CGCに繋がる背景が出来ていました。導入に向けた過程では有効な方策を見極めて(コンプライ・オア・エクスプレインの原則や担当官庁)、メディアや政府関係者とのやりとりを経て国の方針に取り込んでもらいました。一つの経験ですが、事実に反することは一切書いていません。参考にしてもらえたら幸いです。
ニコラス ベネシュ
(個人として)
* ACCJ GSTF White Paper – Charting a New Course for Growth ご参照下さい。(英語)
ACCJ GSTF White Paper – 成長に向けた新たな航路への舵取り (日本語)
注1: 私が行くまでもなく、この場でご紹介しきれない多くの方々のご尽力があってCGCが導入されたのは当然ですが、個人的に、特に下記の方々の貢献抜きにはCGCの導入はあり得なかったと思い、僭越ながら記載します。
アジアコーポレート・ガバナンス協会の事務局と投資家メンバー、CG-net、 ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン(株) 小口俊朗氏、株式会社経営共創基盤 冨山和彦氏、オリックス株式会社 宮内義彦氏、いちごアセットマネジメント株式会社 Mr.Scott Callon、アフラック Mr.Charles Lake、J-Eurus IRの高山与志子氏、 The Council of Institutional Investors、国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク、在日米国商工会議所、制定実現に向けて活動して頂いた国会議員の 塩崎恭久氏(自由民主党)、柴山昌彦氏(自由民主党)、金融庁 油布志行氏。