経産省は、9月29日、『「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-』を改定しました。同手引きは、本年4月、中長期の企業価値向上に対応する役員報酬プランの導入を促す目的で発表されたものの改訂版となります。
10月2日にBDTI主催で開催したセミナー『日本のコーポレート・ガバナンス分析の最前線: ジェフリーズ証券とメトリカル社の最新調査結果』の講師ジェフリーズ証券調査部長のズへール・カーン氏から役員報酬も含め日本企業の取締役会の現状についての分析結果のご報告がありました。日本では社外取締役が多額の株式を保有することが利益相反の原因となるからと異を唱える企業が多々あるものの、巨額の特損を計上する企業は社外取締役の株式保有比率が低いという事実があることが指摘されました。
経産省の手引の概要及び今回の改定のポイント
(1)「攻めの経営」を促す役員報酬の概要
役員にインセンティブ報酬の導入を促進する政策的意義や、平成29年度税制改正における措置の概要等を説明しています。
(2)株式報酬、業績連動報酬に関するQ&A
平成29年度改正税法を踏まえて、株式報酬、業績連動報酬の導入を検討している企業の参考となるよう、類型ごとに税制改正のポイント等を解説しています。今回、改正税法が10月1日に施行となる特定譲渡制限付株式等の部分の記載内容や、改正法施行以降に明確になった解釈についてQ&Aを更新しています。
(3)株主総会報酬議案(例)
株式報酬を付与する際に必要となる株主総会に付議する報酬議案について、一例を示しています。今回、特定譲渡制限付株式に関する株主総会報酬議案(例)、及び、事後交付型の株式報酬の株主総会報酬議案(例)を追加しました。
※特定譲渡制限付株式に関する株主総会報酬議案(例)は、平成28年度改正時に作成した手引に掲載されていたものを更新しました。
(4)譲渡制限付株式割当契約書(例)
「特定譲渡制限付株式」を付与する際に会社と役員の間で締結する契約書について、一例を示しています。
※平成28年度改正時に作成した手引に掲載されていたものを更新しました。
(5)株式報酬規程(例)
今回新たに、事後交付型の株式報酬制度を導入する際に会社が定める株式報酬規程について、一例を示しています。
(6)関係法令
今回、平成29年度改正後の法人税法、所得税法や、金融商品取引法の関連条文(法律、政令、省令、府令)を掲載しています。