6月総会企業のコーポレートガバナンス報告書(CG報告書)の締切りが年末に迫り、多くの企業が提出を急ぐ中、提出されたCG報告書の比較分析により、企業のコーポレート・ガバナンス向上への取組みの本気度がますます問われるようになってきています。
BDTIでは、9月に役員研修に関する方針、12月に役員指名方針の情報開示に関してCG報告書を分析し公表しました。
日本経済新聞のコラム『一目均衡』では12月1日松崎雄典記者が「花王の生きた報告書」と題して花王が初回提出後も取締役会評価、政策保有株の分析結果と今後の方針、取締役・経営陣の選任・報酬の決め方等について更新を続ける予定である一方、東証への提出で義務を果たしたという形式主義的な企業も多いことを指摘しています。
また同じく日本経済新聞のコラム『十字路』では首都大学東京大学院の松田千恵子教授が「ガバナンス実働部隊の嘆き」と題して、CG報告書作成の実働部隊が、コーポレート・ガバナンスを見直す機会と捉えて前向きに活用したいと考えても、取締役にその意向が無いためCG報告書が作文に終わってしまったように見受けられる企業も少なくないとしながら、今からでもガバナンスの本質を自社の将来に活かすために何ができるかを議論することを強く奨めています。
CG報告書の分析により企業のガバナンス比較が容易になるため、ガバナンスに対する企業の姿勢はすでに投資家により鮮明に伝わり始めていると言って過言ではないでしょう。