「在日米国商工会議所(ACCJ)は、昨年の日本政府による 機関投資家向けスチュワードシップ・コードおよびコーポ レート・ガバナンス・コード(以下、「ガバナンス・コード」) 導入を歓迎する。しかし日本の国家年金基金であり、 世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立 行政法人(GPIF)が能動的にスチュワードシップ・コードに 則った役割を果たさない場合、新たなコードの実効性および 日本の公的・企業年金が自らの年金負債に対応する支払 能力は損なわれるかもしれない。年金負債に対応する支払い 能力を維持するためには、アクティブ投資の運用受託機関に 日本自らのガバナンス・コードの原則を理解させ、投資 活動に反映させることである。
提言
ACCJはGPIFが日本政府のコーポレート・ガバナンス改革方針 および国内機関投資家による「スチュワードシップ」改善政策を 補完することを提言する。具体的には、日本株式のアクティブ 投資を担当するGPIFの運用受託機関に対してガバナンス・ コードを適用した投資活動が求められていることを明確にする ため、GPIFが投資原則を修正、説明することを提案する。これは GPIFの「投資原則についてのご説明」の「スチュワードシップ」 の一段落に以下のような文言を加筆することによって達成される (追加文言は太字下線付き)。
「また、株主議決権の行使については、株式運用は運用受託 機関で行っていることなどから運用受託機関の判断に 委ねますが、その日本株式のアクティブ投資運用機関 への委託に際し、コーポレートガバナンスの重要性を 認識し、コーポレート・ガバナンス・コードに精通し、 同コードの原則を分析・議決権行使等その他の投資活動 に反映させ、議決権行使の目的が長期的な株主利益の 最大化を目指すものであることを示すとともに、運用受託 機関における議決権行使の方針や行使状況等について 報告を求めます。 」
これらの追加文言なしで、現在GPIFはアクティブ投資運用機関に 単に「コーポレート・ガバナンスの重要性を認識」することを 要求しており、ガバナンス・コードに言及していない。
GPIFの投資原則におけるこの修正は以下の目的を果たすために 必須である。 a) GPIFの年金負債支払い負担能力を最大化し、 それにより受益者の利益を保護する。 b) 年金支払い額不足 補填を要するかもしれない日本の納税者の利益を保護する。 c) コーポレート・ガバナンス改革を推進する日本政府の方針が、 期待どおり、投資価値と成長を最大限に高めることに効果的 であることを確保する。 d) GPIFの活動を参考にする傾向にある 国内の年金基金に、最新の年金基金のマネジメントとスチュ ワードシップの模範を示す。 e) スチュワードシップ・コードに 期待されているプラスの影響を広くに確保する。」
、、、、続く