「株式会社の経営を担う「取締役」たち。その中に、組織内部の論理から少し離れた視点で経営に参加する「社外取締役」を置く動きが出ている。改正会社法や証券取引所の新ルールで、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化が求められていることを受けた動きだ。
5月1日に施行された改正会社法では、一定の条件に当てはまる会社が「社外取締役を置かない」という選択をした場合、その「理由」を説明しなければならないというルールができた。また、社外取締役が経営を監査する「監査等委員会設置会社」も導入された。
一方、東京証券取引所が6月1日から適用する予定のルール(コーポレートガバナンスコード)では、少なくとも2人の社外取締役を置くことが求められている。
こうした動きを受けて、日本弁護士連合会は、社外取締役が果たすべき役割についての「ガイドライン」を改訂し、報道各社に向けたセミナーを東京・霞が関の弁護士会館で4月22日に開いた。
● 制度を理解する「ヒント」に
改訂に携わった山口利昭弁護士は「社外取締役をめぐる新たな制度の留意点をキチンと理解してもらうため、ガイドラインを改訂しました」と述べた。
また、山岸良太弁護士は、「社外取締役に就任する予定の人が読めば、就任してから退任するまでに押さえておくべきポイントの全体像を把握することができ、不安や疑問を解消できます。社外取締役を迎える会社にとっても、制度への理解を深めるヒントになります」と話した。
「理想の社外取締役」とは、どんな人なのか。中西和幸弁護士は「それぞれの専門分野を活かすことで、適切なガバナンス、監督が実現できる」として、社外取締役には多様な人材が必要とされていると指摘した。
特に、これからの社外取締役に求められる能力は「単に(会社経営に)ブレーキをかけるのではなく、建設的に議論を提起して、いい方向にもっていく力」だという。
また、ときには他の経営者との対立をいとわないことも、社外取締役に求められる資質だという。中西弁護士は「万が一、経営者が自己保身に走って『お手盛り』をしたり、一部の支配株主に利益を供与したりしたとき、会社にしっかりモノ申せる人なのか、そこは非常に重要です」と話していた。
この「社外取締役ガイドライン」は、日弁連のサイトからダウンロードすることができる。」
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130214_3.html
記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150504-00002982-bengocom-soci