[東京 24日 ロイター] – 「ソニーのエレクトロニクス再生をめぐり、役員OBが平井一夫社長への不満を強めている。業績回復の兆しがみえ、株価は上昇基調だが、経営をけん引する革新的なヒット商品を生み出せていないとの見方が背景にある。ウォークマンなど歴代ヒット商品を生み出してきたOBらの圧力は、6月の株主総会の大きな波乱要因になる可能性が出てきた。
経営陣とOBの会合
「世の中を変えるようなイノベーションを起こすべき」――。4月16日、東京都品川区のソニー本社20階の役員フロアで、平井社長ら経営陣と会合を持った5人の役員OBは「ソニーの商品やサービスに魅力がなくなった」ことへの不満を次々と口にした。
出席者は、初代CFO(最高財務責任者)だった伊庭保元副会長、ハンディカムの開発者である森尾稔元副会長、プレイステーションの生みの親である久夛良木健元副社長ら歴代の大物OB。奇しくもその日は株価が2008年のリーマンショック後の最高値を更新したが、OBらはそれを讃えることもなく、創業者の井深大氏が起草した設立趣意書について現経営陣の「理解がない」と、いら立ちを募らせていた。
この会合の内容は瞬く間にOBの間で共有された。出席者から会談内容を伝えられたあるOBは、「経営陣は真摯に受け止めると回答したようだが、どの程度実行できるか疑問」と厳しい口調で語った。
平井社長が複数の有力OBを招いて本社で会合を開くのは、社長に就任した2012年以来のことで、今回が2回目になる。空白期間が長きにわたり、「現役とOBとの交流はまったくなくなっていた」(前述のOB)という。
今回の会合が実現したのは、経営陣からOBに対し「経営について説明したい」との提案があったためだが、その開催は突然だった。その背景には、会合の参加者でもある伊庭氏が、取締役や執行役らソニー経営陣に提出した「提言書」の存在がある。」
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