最初に、日本のビジネスを主に扱う国際コンサルティング会社ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長のロッシェル・カップ氏は、日系企業の世界的事業展開、効果的な人事管理、組織開発、異文化トレーニング、チームビルディングを数多く支援してこられたご経験に基づき、日本企業がグローバル化しようとしたときに陥りがちな人事マネジメントの落とし穴を事例と共にご紹介いただきました。例えば、(1)日本人社員の海外派遣の場合は、本人の適正、派遣のタイミング、引継ぎ、単身赴任など家族との関係、現地での役割、後継など、(2)現地スタッフの人事管理の場合は、現地スタッフとの信頼関係の作り方、コミュニケーション、研修、キャリア・パス、リテンション問題など、日本企業ならどこの企業でも取り組むべき課題例に加え、落とし穴に落ちないための戦略的なポイントをお話しいただきます。
次に、株式会社ディノス・セシール 取締役会長でBDTI理事の上田昌孝氏からは、ご自身の海外生活での実体験も交えながら、異文化コミュニケーションを円滑にするために特に日本人に求められるポイントをアドバイスいただきました。日本人が考える「世間の常識」の「世間」はグローバルに見れば非常にマイナーな存在であることを理解し、相手を尊重した上で、論理性と透明性のあるコミュニケーションに努めることが重要であり、日本企業の文化そのもののグローバル化とこれに対する経営陣のコミットメントが不可欠であることが指摘されました。
さらに、ミュンヘン大学 日本センター・経営学部教授のフランツ・ヴァルデンベルガー氏に、2003年以降のシュレーダー改革で雇用市場にも大胆なメスを入れ、企業の人材のグローバル化が進んでいるドイツと比較しながら、日本企業に依然根強いホームバイアスを克服して人材のグローバル化を実現するために必要な条件について研究者のお立場からご意見を伺います。 多数の観点を示した後、最後に (1)「グローバル化は “好き・嫌い” の問題ではない(2)既に動き出している企業がいる – 英語を社内で徹底的に使い、また外国人を役員にする(3)内部労働市場をオープンにすることによって、 グローバル化だけでなく、日本国内の 女性や高齢者の雇用機会の改善にもつながる、とまとめました。
続くパネル・ディスカッションでは、司会のベネシュも加わり、人材マネジメントにみられる世界の新たな潮流と、日本企業の今後の在り方について各人の立場から議論を深めました。
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Rochelle Kopp
グローバル化を目指す日本企業が直面するコミュニケーションと人事の壁
http://bit.ly/1yObFVt
BDTI理事 上田 昌孝
異文化コミュニケーション ~日本企業・日本人が取り組むべき自己改革~
http://bit.ly/ZAtKqT
Dr. Franz Waldenberger
日本企業のグローバル化を促すための人事制度改革
http://bit.ly/1vN6tQy