大和総研主任研究員横山淳氏が、『定時株主総会は、何のためにあるのか?』と題するコラムにて、コーポレート・ガバナンスをめぐる重要な論点の一つとして、定時株主総会の意味を改めて考え直す時期に来ていると指摘しています。
「定時株主総会には、事業年度の決算に関する計算書類等を提出し、承認を得ることを求めている(会社法438条)。しかし、会社法は、同時に、会計監査人を設置している会社については、会計監査報告に「無限定適正意見」が含まれているなどの要件を満たせば、承認は不要で、報告のみで足りるとしている(会社法439条)。
会社法は、配当(剰余金の配当)について株主総会の決議を要求しているが(会社法454条)、「定時」株主総会に限定しているわけではない。会社法は、同時に、取締役の任期が1年であるなどの要件を満たせば、定款授権により、配当を取締役会限りで決定できるとしている(会社法459条)。
計算書類等の承認も、配当の決定もない場合、定時株主総会が「決算のための総会」だというのは、最早、名目だけのことだと言わざるを得ない。だとすれば、そのような会社の定時株主総会は、何のための総会なのだろうか?取締役会限りで配当を決定するための要件が、取締役の任期が1年である(=毎年、取締役が改選される)ことを踏まえれば、「取締役の信任(改選)のための総会」と位置づけるのが妥当であろう。」