「原則主義」が貫かれる 「指針」や「ひな形」は策定されない方向
「 『プリンシプルベース』での開示、説明が求められる
13 年12 月26 日に公表された「責任ある機関投資家」の諸原則(案)≪日本版スチュワードシップ・コード≫(以下、コード)について、金融庁へのヒアリングや、1 月22 日開催の日本証券アナリスト協会主催セミナーでの油布金融庁企業開示課長の説明内容などから、重要と考えられる諸点を以下に示す。まず、今回のコードには法的拘束力はなく、その受け入れは任意である。また受け入れても、いわゆるComply or Explain の手法により、原則を実施しない理由を説明した上で一部の原則を実施しないこともできる。また、公表や説明はプリンシプルベース(原則主義)で行うとされており、金融庁からコードに基づく公表内容についての指針やひな形は示されないと見られる。1 月22 日開催のセミナーでも、公表内容等は機関投資家等が試行錯誤を重ねつつ、自ら考えること、そのプロセス自体が極めて重要であることが強調されていた。
『機関投資家の範囲』は特に限定されていない
コード(の公表案)では、国内外の別なく「日本の上場株式に投資する機関投資家」をその対象として念頭に置いている。また、投資運用会社や年金基金、保険会社を機関投資家の例としているが、その範囲が特に限定されているわけではない。例えば、政策保有株式が中心の銀行などでも、体制を整えてコードを受け入れ、その原則に則り行動することは考えられるであろう。
金融庁へのコード受け入れ表明等の初回通知期限は13 年5 月末
コードは、2 月3 日に公表案に関するパブリックコメントを締め切った後、同月中に1 度有識者検討会を行った上で内容を確定、公表の予定である。その後、コードの受け入れ等が募られる。コードの受け入れを表明した機関投資家について、金融庁はリスト化して公表し、3 ヵ月ごと(2、5、8、11 月末)の受け入れ状況等について各翌月初めに更新する。受け入れ表明と求められる内容の公表は同時に行うことが基本であるが、初回(5 月末)に限り、受け入れ表
明のみを行い、求められる内容の公表は次回のリスト更新(9 月初)までに行うことも可とされる模様である。
求められる公表内容はコードの原則1、2、5 であるが、限定はされない
求められる公表内容は、「コードを受け入れる旨」と、コードの原則1「責任を果たすための明確な方針」、2「利益相反についての明確な方針」、5「議決権の行使と行使結果」である。ただし、プリンシプルベースであるので、他にも機関投資家が必要と考える内容があれば、それらの公表を妨げるわけではない。」