「[アムステルダム 7日 ロイター] -オランダの公務員年金基金ABPは7日、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)株式を昨年売却したことを明らかにした。福島第1原発の問題めぐり、ABPが安全性や環境への影響について繰り返し協議を申し入れたものの、東電側が応じなかったため、としている。ABPは、東電を1月1日付けで投資してはならない対象に指定した。
チェルノブイリ以来最悪の原発事故とされる福島第1原発の事故は、発生から3年近くになる今も汚染水の処理などで問題を抱え、昨年末に政府が賠償や除染のための資金支援枠の拡大を決定している。
ABPは、3000億ユーロ(4080億ドル)近い運用資産を持つ世界有数の年金基金。世界的な機関投資家が、東電を投資してはならない対象としたことは、すでに原発事故処理などで厳しい批判にさらされている東電にとってさらなる打撃だ。
ABPの広報担当HarmenGeers氏は7日、保有していた東電株を2013年第4・四半期に売却したことを明らかにした。売却価格は不明。ABPの四半期報告では、第3・四半期末時点で1800万ユーロ相当の東電株を保有していた。
ABPは7日発表した声明で「東電は、福島原発事故発生時、およびその後も、われわれの基準に違反していた。東電は、一般市民の安全についての認識が乏しかったと言える」と指摘した。
Geers氏によると、ABPは自分たちの懸念について繰り返し東電との協議を試みたが、東電からの返答はなかったという。
ABPは、投資禁止対象リストを毎年見直している。禁止対象には、クラスター爆弾製造会社などが含まれている。
東電については、ABPが社会責任投資のガイドラインとしている国連グローバル・コンパクトの10原則の内の「人権」と「環境」の2原則に関する目標を満たしていないと判断したとGeers氏は説明した。
現在のところ東電のコメントは得られていない。」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA0608V20140107/