11月6日、日本取引所グループ、東京証券取引所、日本経済新聞社が共同で開発した新株価指数「JPX日経インデックス400」の詳細が公表され、これについて野村證券シニアストラテジスト西山賢吾氏が『新しい株価指数について-企業統治の視点から (副題: 高資本効率・ガバナンス注力企業を積極評価/ROE を軸とした企業と投資家との対話を促進する』と題するレポートを発表しました。
以下はレポートの要約抜粋です。
『流動性、業績、ガバナンスの観点から400 社を選出
日本取引所グループ及び東京証券取引所(JPX グループ)と日本経済新聞社は共同で開発していた新しい株価指数「JPX 日経インデックス400」の構成銘柄、及び算出要領を6 日公表した。同指数の選定基準を見ると、市場流動性(売買代金、時価総額など)と企業業績(ROE、営業利益など)などを軸に、独立社外取締役選任やIFRS 採用など、定性的要素も加味されている。
資本効率性、ガバナンス面で一定の水準を満たした銘柄群
公表された構成銘柄を見ると、東証 1 部上場銘柄が中心であるが、東証マザーズやJASDAQ など、東証1 部以外からも14 銘柄が選ばれている。また、資本効率性、コーポレートガバナンスの観点からも良好と考えられる企業が多いという印象を受ける。構成銘柄群のROE は、過去3 年平均では11.1%であり、TOPIX、日経平均株価採用銘柄の水準を上回っている。一方、社外取締役の選任割合は74.8%であり、日経平均株価採用銘柄での選任割合には及ばないが、TOPIX 構成銘柄の割合は上回っている。
公的・準公的資金の運用で同指数の利用が検討される方向
「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」が9 月に公表した「中間論点整理」において、「効率的な運用が可能となる指数の利用」が挙げられ、その例として「東証が検討している株価指数等」が挙げられていた。同会議は11 月中にも最終報告書をまとめると見られるため、今回公表された新しい株価指数の、同報告書での位置づけにも注目したい。
ROE が企業と投資家との対話の中心に
新しい株価指数は、収益性やコーポレートガバナンスが良い企業を構成銘柄に採用することで、株式市場でそれらの企業を積極的に評価するという点で重要である。一方、当該株価指数の公表に伴い、資本効率性への注目がさらに高まり、14 年以降、議決権行使を始めとした投資家と企業との対話においては、ROE が軸になると考える。また、企業側でもROE 向上に対する意識が強まるであろう。こうした動きは日本の上場企業全体の資本効率性を底上げし、日本の企業や株式市場への投資魅力を高めることにつながると考える。』
BDTIでは11月25日(月)に『ISS、2014年議決権行使助言基準と今後の方向性~ コーポレート・ガバナンス向上に期待される機関投資家の役割と議決権行使アドバイザーの影響 ~』と題するセミナーを開催します。ガバナンス、ROEといった投資判断の新機軸が、今後、機関投資家にどのような影響を及ぼすのか、その方向性を確認していただく機会となります。企業のIRご担当の方は是非ご参加いただきたいセミナーです。
西山賢吾氏のレポートは下記でダウンロードできます。
http://bit.ly/HAuy6B