8月6日号の週刊『エコノミスト』でジャーナリストの伊藤歩氏による会社法改正法案に関する記事が掲載されています。子会社の不祥事に対し親会社の責任を問うことを目的とした法改正と言われ2012年4月に中間試案が策定され、その後の議論を重ねて「会社法制の見直しに関する要綱」が誕生しました。この要綱の内容についての中村直人弁護士の見方を紹介した記事です。
以下、『エコノミスト』から引用:
多重代表訴訟に関しては、要綱の第2部「親子会社の規律」に記載がある。その一番最後に、小さな字で”1の後注”として、「株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして、法務省令で定める体制(会社法第362条第4項6号等)の内容に、当該株式会社及びその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制が含まれる旨を会社法に定めるものとする」という記載がある。
中村弁護士はこれについて、「会社法施行規則100条5項の規定を法に格上げすることを意味する。つまりグループ全体を見る義務が親会社の取締役にはあり、それが法に明記されるということ」と解説。「規則にグループ管理の責任を明記してあっても、親会社役員を訴えられるという法解釈にはならないが、これが法に格上げされると、子会社の規模や親会社が持つ子会社株の簿価に関係なく親会社役員の責任を問えるという法解釈になる。それに気付いている人はまだ少数派」だというのだ。
エコノミストの記事では「要綱に書かれてしまったことを、法案で削除させることは基本的に不可能だ。」と締めくくっています。