「98 年度末以来13 年半ぶりに300 社を割った親子上場企業数
野村證券が東洋経済新報社の「大株主データ」を用いて、全上場企業を対象に12 年度上期末(12 年9 月末)現在の親子上場企業数を調べたところ、11年度末(12 年3 月末)時点の304 社から8 社純減し、296 社であった。親子上場企業数が300 社を割ったのは98 年度末(281 社)以来13 年半ぶりである。なお、本稿では「親子上場企業数」を、「親会社が上場企業である上場子会社の数」としている(図表1)。
企業再編に伴う完全子会社化が親子上場解消の主因
12 年度上期の親子上場企業数の増減とその要因を見る。まず、減少した企業数は16 社であった。16 社のうち、企業再編に伴い親会社の完全子会社になった事例が12 社と最も多かった。他は、親会社が持分を減らしたことにより子会社に該当しなくなった事例(3 社)と、親会社が他の上場企業と合併したことにより親会社が消滅会社となった事例(1 社)が見られた。一方、新たに上場親会社が存在するようになった8 社のうち7 社は、TOB や第三者割当による持分の増加がその要因であった。なお、他の1 社は、前述した親会社の合併により、存続企業となった上場企業が新たに親会社になった事例であり、上場会社の子会社が新規に上場した事例は見られなかった(図表2)。
親子上場企業数の純減は継続
親子上場企業数は 06 年度末の417 社をピークに減少が続いている。図表2に見られるように、親子上場解消の主な要因は完全子会社化である。企業グループ全体で企業価値向上を図る上で、企業再編は企業の重要な戦略に位置づけられる。このため、上場子会社を完全子会社化する、あるいは他社に売却するなどの動きは今後も進むであろう。また、新たに親子上場となる事例を見ると、既上場企業の買収が主であるため、将来完全子会社化により上場
廃止になる事例も見られるであろう。一方、新規に上場企業の子会社が上場することに関しては金融商品取引所や投資家から厳しい見方がなされていることもあり、あっても少数に留まるであろう。さらに、16 年3 月期(早ければ15年3 月期)決算からの強制適用が検討されている企業結合に関する会計基準の改正において、子会社株式の一部売却は資本取引とし、売却損益を計上しないことが検討されていることも、上場親会社が保有する子会社株式を売り
出すことによる新規上場を先行き抑える要因になる可能性がある。よって、今後も親子上場企業数の純減という流れは継続すると考える。」
リサーチアナリスト
制度調査
西山 賢吾 シニアストラテジスト- NSC
kengo.nishiyama@nomura.com