「トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)は16日開催した定時株主総会で、「AA型種類株式」と呼ばれる新型の種類株式を発行できるようにするための定款を変更する議案について、約75%(速報値)の賛成を得て可決した。
種類株の発行で自動運転技術など中長期的な研究開発資金を調達し、長期に保有する安定的な株主の拡大をめざす。
決議には、出席株主の3分の2以上の賛成が必要だった。総会の所要時間は過去もっとも長い3時間2分で、出席株主数は4655人(前年は4163人)。質問者は前年から7人多い25人だった。
豊田章男社長は、新型株の発行について「株主の皆様と未来のモビリティ社会を実現したいというトヨタのチャレンジ」と説明。「株主の選択肢の幅が広がる」と述べ、民間企業のトヨタが「資本市場の活性化を半歩進めるものだ」と語った。創業時に「一緒にやろう」と集まった仲間と自動車を作ったように、株主に対しても「一緒にやりましょう」と呼びかけた。
同種類株をめぐっては、賛否両論の意見が出ていた。
機関投資家に議決権行使の助言をする米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、種類株の発行で安定株主が増えると経営の規律が失われるなどとして反対を表明。米国大手年金基金の米カリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスターズ California State Teachers’ Retirement System)などの海外機関投資家が相次いで反対した。
一方、もうひとつの大手議決権行使助言会社の米グラスルイスは、トヨタが資金調達の手法を多様化できるほか、将来のビジネスチャンスにつながるとして賛成の意向を示していた。
トヨタは、競争が激化している自動車業界で最先端技術の開発と持続的な成長を図るためには、中長期的な株主層を開拓する必要があると判断。日本の企業としては初めてのタイプとなる種類株の発行を計画し、そのための定款変更の議案を総会に付議した。
安定株主を増やす手段として、なぜ株主優待などではなく種類株にこだわるのかを株主から問われ、豊田社長は「5年間の譲渡制限がある代わりに、元本を保証している」などと商品性を説明、「株主に選択肢の幅を広げるというもの。どなたかが犠牲になるということではない」と話し、理解を求めた。株主からは「ガバナンスの問題はないのか」などの質問もあり、小平信因副社長は「新型株の株主から積極的な意見をいただき、ガバナンス向上につなげる」と語った、、、。」