企業に対するESG情報の開示に対する機関投資家の要求が世界的に高まる中で、日本における今後のESG動向について取り上げ、有識者をお招きして無料セミナーを開催します。本セミナーは、今後加速する日本におけるESG投資とソフト・ロー「コード」の方向性を整理していただく機会となります。IRのご担当者に実務上役立つ情報をお届けするのみならず、ガバナンス推進の観点からは取締役会のメンバー・担当者の方々にこそ、ご参加頂きたいセミナーです。
2012年には世界の金融資産の約25%が国連のPRI(責任投資原則)に署名している投資家によって運用されていました。この比率が2013年には約27%、運用額35兆ドルにまで膨らんでいます。海外の公的年金基金の多くは国連のPRI(責任投資原則)に署名しているため、こうした機関投資家は、アベノミクスとオリンピック開催決定で上昇が見込まれる日本株への投資比率を増やし続けると、日本企業に対してESGに関するより充実した情報開示を求めることになります。国際統合報告評議会(IIRC)が国際統合報告フレームワーク公開草案を公表し、統合報告が具体化されつつあるため、この開示要求の傾向はさらに強まるでしょう。日本の企業は、安定株主獲得と資本調達力増強のためにも、企業の成長戦略上重要と思われるESG情報の開示が強く求められています。
一方、政府の成長戦略「日本再興戦略-JAPAN is BACK」では、企業の持続的な成長を図ることを目的に、コーポレート・ガバナンスの強化の観点から、「機関投資家が、対話を通じて企業の中長期的な成長を促すなど、受託者責任を果たすための原則、いわゆる日本版スチュワードシップ・コードについて検討し、取りまとめる」ことが明記され、有識者会議で議論されています。日本で他国と同様に特に「G(ガバナンス)」について情報開示を促すcomply-or-explain*原則に沿って何らかの「コーポレート・ガバナンス・コード」の制定が俎上に上るようになるのは、時間の問題という見方もあります。 (*「遵守せよ、さもなければ説明せよ」)
今回のセミナーでは、最初にNPO法人 社会的責任投資フォーラム(SIF-Japan)会長の荒井勝氏に、責任投資・ESG投資の最近の動向と企業・投資家にとっての意義、ESGにより企業及び社会が享受できる好循環が生まれる過程について、大和証券投資信託委託の元CIO、またFTSE4Good政策委員会メンバーとしてのご経験などを踏まえてお話いただきます。続いて、日本証券アナリスト協会「企業価値分析におけるESG要因研究会」座長、中央大学大学院国際会計研究科客員教授なども務める日興フィナンシャル・インテリジェンス専務取締役である宮井博氏に、欧米の公的年金基金等の長期投資家が求める、企業のESG情報開示に関する動向、日本企業のESG情報開示における現状と課題についてお話を伺います。
その後、 長島・大野・常松法律事務所顧問で一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授を勤めるブルース アロンソン氏から、ESGの中でもガバナンスに焦点を当てて、日本の「コーポレート・ガバナンス・コード」制定の可能性、また、スチュワードシップ・コードとの関係をお伺いします。最後にBDTI代表理事ニコラス・ベネシュの司会により講師の皆様とパネル・ディスカッションで日本企業のグローバル化が進展する中で日本企業のESG情報開示姿勢と世界のESG投資の流れの中で今後の在り方などについてより深い議論を展開する予定です。
【開催日時】 2014年2月12日(水)13:30 – 16:30 (開場 13:00)
【開催場所】 一橋大学大学院国際企業戦略研究科キャンパス
(東京都千代田区一ツ橋2丁目1番2 学術総合センター内)
http://www.ics.hit-u.ac.jp/jp/direction.html
【参加費】 無料
【定員】 100名
【共催】 一橋大学大学院国際企業戦略研究科(一橋ICS)
【協賛】 ESGコミュニケーション・フォーラム
◆ お申し込みは以下のボタンをクリックしてください。
(事前告知:変更の可能性あり)
【講師紹介】
ご挨拶:布井 千博 氏
一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授
1979年一橋大学法学部卒業。1981年一橋大学大学院法学研究科修士課程修了。1984年一橋大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。東海大学法学部専任講師・助教授・教授、ボン大学法学部客員研究員(在外研究)、ミュンヘン大学法学部客員研究員(在外研究)等を経て、1998年より一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。商法、会社法、EU企業法、M&A法制、ドイツ会社法、中国会社法を主な研究テーマとしている。
基調講演 : 荒井 勝 氏
NPO法人 社会的責任投資フォーラム(JSIF)会長
FTSE4Good政策委員会メンバー(ロンドン)、 CDP-Japan(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)アドバイザリー・グループ委員。エコステージ協会第三者評価委員。1972年慶應義塾大学商学部卒業、同年大和証券入社。76年カイロ・アメリカン大学アラビア研究センター終了。フランス、エジプト、サウジアラビア、オーストラリアなどの勤務を経て1992年大和証券投資信託委託に入社して、最近まで同社の運用本部長(CIO) を7年務める 。2006年取締役兼専務執行役員、10年顧問、11年退任。2008/09年環境省「環境金融普及促進調査検討会」委員。2012/13年環境省「環境に配慮した事業活動の促進に関する検討会」委員。国内外の責任投資ならびにイスラム金融関連セミナーにスピーカー、パネリストとして多数参加。
基調講演: 宮井 博 氏
日興フィナンシャル・インテリジェンス専務取締役
年金シニアプラン総合研究機構理事、日本証券アナリスト協会「企業価値分析におけるESG要因研究会」座長、中央大学大学院国際会計研究科客員教授を務めるほか、全国市町村職員共済組合連合会や国民年金基金連合会の資産運用委員会委員など多数兼務。1981年筑波大学大学院環境科学研究科修了。環境関連のコンサルティング会社を経て、1987年日興リサーチセンター(現日興フィナンシャル・インテリジェンス)に入社。投資分析部、投資工学研究所で、証券分析、リスク管理モデル等の研究開発に従事した後、年金研究所で年金資産運用のコンサルティング業務に従事。主要な研究テーマは、ESG要因のような非財務データを含む年金資産運用のリスク管理。
基調講演: ブルース アロンソン氏
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授/長島・大野・常松法律事務所顧問
ボストン大学卒業及び1977年ハーバード大学ロースクール修了。ニューヨーク法律事務所ヒューズ・ハバード&リードLLPのパートナー(1989~2000)を経て学者に転身。クレイトン大学ロースクールの教授 (2004~2013年)。日本においては、早稲田大学及び同志社大学に留学、長島・大野・常松法律事務所での勤務、東京大学のフルブライト研究員、客員助教授、日本銀行研究員、早稲田大学のフルブライト研究員などを経験。専門は、コーポレート・ガバナンスと法曹の比較研究
司会:ニコラス・ベネシュ
BDTI代表理事
米国スタンフォード大学政治学学士号取得後、米国カリフォルニア大学(UCLA)で法律博士号・経営学修士号を取得。旧J.P.モルガンにて11年間勤務。米国カリフォルニア州及びニューヨーク州における弁護士資格、ロンドンと東京で証券外務員資格取得。現在、在日米国商工会議所(ACCJ)の理事兼成長戦略タスクフォース座長を務める。2010年より、法務省と法制審議会会社法部会に対し会社法改正に対して意見を提供している金融庁主催コーポレート・ガバナンス連絡会議に所属する。これまでに、在日米国商工会議所理事、同対日直接投資タスクフォース座長、内閣府対日直接投資会 議専門部会の外国人特別委員、株式会社アルプスの取締役、スキャンダル後の株式会社LDH(旧名ライブドア)、株式会社セシールの社外取締役を歴任した。
本セミナーの案内状は下記からダウンロードできます。
http://bit.ly/1b9zS7R