「日本経済 緩やかな回復と難問の持続」 ヒュー・パトリック著

「 日本経済は常に難しい問題を突きつける。例えば、失業率が極めて低いにもかかわらず、賃金の上昇率が低いのはなぜか?異例な金融緩和と低金利が継続されているにもかかわらず、消費者物価は上昇せずデフレ懸念が払拭されないのはなぜか?研究開発投資が比較的高水準で実行されているにもかかわらず、国内の投資機会が少ないように思われるのはなぜか?日本人は、どうしてリスク回避的なのか?他の先進国でも見られる現象だが、生産性上昇率が低下した理由は何か?これらの疑問に対して全面的に回答することはできないが、本稿ではその回答への手掛かりを述べてみたい。