今年制定されたオーストラリア証券取引所のコーポレート・ガバナンス・コードでは、ボード又は指名委員会が各取締役のスキルと知識を定期的に評価し、オリエンテーションプログラムを提供し必要であれば研修を確保するだけではなく、各社のボードが目指している「スキルと多様性のマトリックス」の開示が求められている。このような体制(研修、評価、マトリックス)は世界のスタンダードになりつつあると言えよう。(ついでに、新しいコードは財務経験がない取締役の会計知識を補う必要性を特定してまで重視している。)
会社法では、取締役会の監督役割についてどうなっている?
有識者会議で意見が分かれているらしいです。ちなみに会社法の条文には取締役会社の監督義務についてこうなっている(監査役会設置会社の場合):
(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
〔ロイター〕「取締役会は「監督型」が最適か、意見分かれる有識者会議」
(会社法は監督についてどうなっているか、この次の投稿をご覧になってください。) ロイターの記事から: 「日本企業の取締役会は、米国企業に多くみられる経営陣を監視する「モニタリング型」にするべきか──。政府が成長戦略の一環として策定を目指すコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)のあり方を議論する有識者会議(座長・池尾和人慶応大教授)で、対立する意見が真っ向からぶつかりあった。海外投資家も注目するポイントだけに、どのような結論になるか市場も注目度を上げていくとみられる。
上場企業の取締役会の機能について、見解の相違が明らかになったのは、20日に開かれた第4回会合だった。
法と経済のジャーナル: 「コーポレートガバナンス・コードが効果を発揮するために」
当法人の代表理事のニコラス・ベネシュはコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)のあり方を議論する有識者会議へのインプットとして、法と経済のジャーナルに寄稿しました。寄稿具体的なコード内容についての提案となっています。
http://judiciary.asahi.com/fukabori/2014102500001.html
コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議 (資料と議事録)
コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議は明日、4回目の会議を開きます。まだまだ一番重要な本題(例えば、取締役会の構成のプラクティス)にあまり触れていないが、多くの方に期待されています。(ちなみに、当法人はニコラス・ベネシュは去年、金融庁主導のコーポレートガバナンス・コード策定を提案して、それを成長戦略の一柱にすることをすすめた本人です。)
資料と議事録をダウンロード
カナダ、女性取締役の指名を促す強い情報開示制度を導入
カナダな最近(来年から施行)日本のJPXと同じような女性取締役についての開示制度を導入したが、より詳しい情報が求められているので事実上の「comply-or-explain」ルールです。例えば、「女性を指名する方針があるかどうか(あれば、その方針に実行に当たっての実績)、又は「どうして女性役員がいないのか、理由を説明せよ」なども開示項目になっている。
「格差拡大を非常に憂慮、過去100年で最大水準近く=イエレン議長」(ロイター記事)
「[ボストン 17日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は17日、所得や富の格差拡大を「非常に」憂慮しているとの認識を示した。
大和総研コラム『定時株主総会は、何のためにあるのか?』
大和総研主任研究員横山淳氏が、『定時株主総会は、何のためにあるのか?』と題するコラムにて、コーポレート・ガバナンスをめぐる重要な論点の一つとして、定時株主総会の意味を改めて考え直す時期に来ていると指摘しています。
「定時株主総会には、事業年度の決算に関する計算書類等を提出し、承認を得ることを求めている(会社法438条)。しかし、会社法は、同時に、会計監査人を設置している会社については、会計監査報告に「無限定適正意見」が含まれているなどの要件を満たせば、承認は不要で、報告のみで足りるとしている(会社法439条)。
【レポート】セミナー「日本企業に求められるグローバル・リスク・マネジメント」
10月6日、クロール・インターナショナル・インクのシニア・マネジング・ディレクターで東京支社代表/アジア太平洋地区統括責任者を務める影山正氏、ビンガム・坂井・三村・相澤法律事務所(外国法共同事業) パートナーの山田篤弁護士、フェデラル・インシュアランス・カンパニー経営保険本部長の山越誠司氏をお招きして、グローバル化する日本企業が直面するグローバル・リスクの現状と対策についてお話を伺いました。