1800社分析から見えてくるコーポレートガバナンス

メトリカルはこれまでの500社から1,800社に大幅に分析対象を拡大しました

メトリカルはこれまで3年間優良企業が多いとされるJPX400構成会社中心とした500社の分析をしてきましたが、時価総額100億円以上の会社をカバーする約1,800社を調査対象としました。分析は従来と同様に、10 の評価項目と20以上のサブ項目で、ボードプラクティスだけでなくCGプラクティス全体に影響を及ぼし、究極的には財務的パフォーマンスに影響を及ぼすアクションを評価に組み入れています。

コーポレートガバナンス・コード改定案

金融庁は、3月13日、第15回「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」を開催し、コーポレートガバナンス・コード改訂案投資家と企業の対話ガイドライン案を公表しました。

コードの改訂とガイドラインの策定の考え方について下記の様に説明されています。(以下引用)

神戸製鋼事件を考える(続き3)

神戸製鋼の最終報告書が発表されました。
全80頁のうち、48頁以降は、再発防止策に費やされています。
かなりの分量を割き、再発防止に真剣な様子が窺えます。

その中で、取締役会を変えていくとした部分は、51〜53頁です。

(1)リスク管理、品質管理担当の取締役を設置する。
(2)社外取締役の割合を1/3にする。
(3)全事業部門長が取締役になるのはやめ、数を絞る。
(4)取締役会議長は、社外取締役とする。
(5)諮問機関として指名・報酬委員会を設置する。

などの方策が挙げられています。
(4)は、日本で実践している企業は多くなく、思い切った決断であると言えます。
社外取締役と話し合って決めたものと想像しますが、会社にとっても社外取締役にとっても、重大な転換でしょう。

不祥事防止のための取締役の関わり方

来たる3月20日に行われるセミナー「企業不祥事から学ぶガバナンス強化策」の講師である渡辺樹一先生は、Business Lawyersでご論稿を連載中です。その第2回では、対談形式のコラムを私も担当いたしました。

企業価値向上と毀損防止に向けて企業は何をすべきか
第2回 製造不祥事から学ぶ教訓、問題の本質と対応策の提言(後編)
https://business.bengo4.com/category1/article302

スチュワードシップ・コードの受入れ表明機関投資家リスト(平成30年2月19日時点)

金融庁は、2月21日、スチュワードシップ・コードの受入れを表明した機関投資家のリスト(平成30年2月19日時点)を公表しました。これまで事業法人の年金基金の中で受け入れを表明していたのはセコム企業年金基金のみでしたが、今回、新たにパナソニック企業年金基金とエーザイ企業年金基金の二つの事業法人企業年金基金が加わりました。コーポレートガバナンス・コードが有効に機能するための重要な変化の兆しとして評価できます。

【ご参考】
過去のフォーラム投稿より
スチュワードシップコードが実効的に機能するために、年金ガバナンス強化の具体策を提言する

「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」(案)

日本取引所自主規制法人は、2月21日、「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」(案)を公表しました。
上場企業不祥事が多発する中、「不祥事の発生そのものを予防するための上場会社の取組みに資する」ことを目的としています。同法人が上場管理業務を行ってきた中で蓄積した企業不祥事に関する知見を共有するもので、2018年3月14日まで、日本取引所グループのウェブサイトにてパブリック・コメント手続を実施し、その結果を踏まえて、2018年3月下旬を目途に正式決定されます。

BDTIでは、3月20日(火)、企業法務を研究するGBL研究所の理事で、2014年1月~2017年12月に上場企業により公開された調査報告書を基にこれまでに145件の企業不祥事を分析した渡辺樹一氏をお迎えし、『企業不祥事から学ぶガバナンス強化策』と題するセミナーを開催します。ガバナンス、コンプライアンス、内部統制という3つの分野における実務経験を通して、数多くの事例を分析したからこそ見えてくる、不祥事の全体的な傾向や問題の背景、問題の本質等について、ガバナンスの観点からの論点を整理していただき、企業として今後検討すべき具体策も含めて形式論に留まらないガバナンス改革の要点についてお話頂きます。沢山の方のご参加をお待ちしております。

詳細・お申し込みはこちらから。

日本における「効率的なエンゲージメント」:サンプル・エンゲージメント・レター

仮に私が40社以上の日本企業株式に長期投資する機関投資家の議決権行使責任者を務めていたとしたら使用するであろうエンゲージメント・レター(日本語・英語)のサンプルを作成しました。その場合、保有銘柄が多いので年4回以上も直接面談するような時間はとれないので、効率的な対話方法を使わなければなりません。多くの機関投資家に共通する状況だと思います。

効率的エンゲージメントのためには、企業に対する提案を詳細な文書にして、できる限り迅速に提出する必要があると考えています。さもなければ、主要株主だったとしてもその提案内容が取締役会に正確且つ詳細に伝わることはありません。何しろ、詳細(又は全て)はIR部長で止まってしまう恐れがあるからです。また、内容によってはガバナンス・プラクティスとして日本ではまだ新しいものがあり、面談による口頭のコミュニケーションで完全に伝えるのはとても難しいという点もあります。

第14回スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議

2月15日、金融庁のスチュワードシップ・コード及びCGコードのフォローアップ会議が開かれ、①投資家と企業の対話ガイドライン(案)と②投資家と企業の対話ガイドラインの策定に伴うコーポレートガバナンス・コードの改訂に係る論点について話し合われました。

投資家と企業の対話ガイドライン(案)
投資家と企業の対話ガイドラインの策定に伴うコーポレートガバナンス・コードの改訂に係る論点

日経記事:社外取締役比率上げ-金融庁「3分の1以上」新ルール

2月15日の日本経済新聞記事によると、「金融庁は上場企業の取締役に占める社外取締役の割合を3分の1以上にするよう求める新ルールを導入」し、2018年のコーポレートガバナンス・コードに盛り込むとされています。

「日本は社外取締役の活用で遅れているとの意識が金融庁にはある。米コンサルティング会社のスペンサースチュアートによると、取締役に占める社外取締役の割合は米国で84%、フランスで69%、英国で61%。日本は時価総額が上位の企業でも31%どまりだ。
 
欧米ではCEOの選解任は社外取締役が中心の指名委員会が主導することが多い。日本は経営トップが後任を指名するのが一般的で、決定過程が外部からは見えにくい場合がある。金融庁は不透明な経営トップの選任手続きが不祥事の一因になるケースもあると見ており、選任手続きの透明性を高めたい考え。企業が互いに株を持ち合う政策保有株に対する説明も今まで以上に求める。株主総会などでの経営へのけん制効果が期待できない政策保有株の解消を企業に促していく。」