年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、6月1日、「スチュワードシップ活動原則」と「議決権行使原則」を公表しました。国内株式及び外国株式を運用する運用受託機関に対して議決権行使を含むスチュワードシップ活動の遵守を求め、これを適切にモニタリングし、運用受託機関と積極的に対話(エンゲージメント)を実施するとしています。
GPIFがこうした方針を公表したことは、確かに大きな進展と言えます。ただし、以下に引用した内容などを見ると、他の国の公的年金と比較するとまだまだ曖昧でとても短い方針にとどまっています。どちらかと言えば、投資先企業がコンプライしていない時に「その企業の考えを十分にヒアリングすること」に重点を置いているという印象です。議決権行使方針に関しては、これまでと同様GPIFとしての方針はないため、結果的には運用機関任せとなっています。年金ガバナンスの問題にご興味のある皆様はどの様な印象を受けたでしょうか?
スチュワードシップ活動原則の具体的な活動項目
- 運用受託機関におけるコーポレート・ガバナンス体制
- 運用受託機関における利益相反管理
- エンゲージメントを含むスチュワードシップ活動方針
「運用受託機関は、各国のコーポレートガバナンス・コード又はそれに準ずるものの各原則において、企業が「実施しない理由」を説明している項目について、企業の考えを十分にヒアリングすること。」 - 投資におけるESGの考慮
- 議決権行使
「運用受託機関は、企業価値向上を促すエンゲージメントの一環として、別に定める議決権行使原則のとおり、議決権を行使すること。」
議決権行使原則
- 「運用受託機関は、各国のコーポレートガバナンス・コードが企業に対して求めている事項を踏まえて適切に議決権行使すること。同様のコード又はそれに準ずるものが無い場合には各運用受託機関が投資先企業に求める水準に従って適切に議決権行使すること。」
【ご参考】
Canadian Pension Plan Proxy Voting Principles and Guidelines (14頁)
http://www.cppib.com/documents/1769/CPPIB_Proxy_Voting_Principles_and_Guidelines_EN_Wz3xvj0.pdf