日経ビジネス『企業は「相談役・顧問」を見直すべき』ISS石田氏インタビュー

日経ビジネス・オンラインは、2月8日、議決権行使助言会社ISSのエクゼクティブ・ディレクター石田猛行氏インタビュー記事を掲載しました。石田氏は、今年度の議決権行使アドバイスのポイントとして、「今年は新たに相談役・顧問制度を規定しようとする定款変更について、「反対」を推奨するというポリシーを入れました。」と解説しています。

「経済産業省のアンケート調査にもあるように、上場企業の約6割で相談役・顧問が存在しているという実態があります。その企業の経営に大きな影響を与える存在でありながら、多くの場合、取締役でないために株主総会で選任されるわけではありません。

株主に対する受託者責任を追うこともなく、訴訟の対象にもなりにくい。アカウンタビリティーなしにその会社の経営に少なからぬ影響力を行使することが、一番の問題だと考えています。」

「株主が自分の代理として選んでいる取締役の経済的インセンティブのあり方が、株主ではなく銀行に近いというのは、ねじれています。その「固定的」かつ「長期」を前提とした報酬制度に、相談役・顧問の制度が織り込まれているという側面もあります。」

「問題なのは、例えば社長が重要な決定をしようとしても、事前にOBに根回ししなければならないといった文化が色濃く残っていることです。人間は誰でも、自分の過去から独立した判断を下すことは難しいでしょう。例えばある相談役が社長だった時に導入したある施策が、今になって問題を起こした場合、その相談役はそのことを認めたくないはずです。

経済が右肩上がりの時代であればいいかもしれませんが、現在は過去の延長線上にない新たな技術・ビジネスを生み出していく必要があります。その時に、アカウンタビリティーなしにそれを阻害しかねない方向で影響力を持つ存在は問題といえるでしょう。」

「今回のポリシー変更では、あくまで相談役・顧問についての定款変更に反対というだけで、相談役や顧問がいる企業のトップ選任案に反対するわけではありません。確かにあいまいで、ROEや社外取締役の数のように、明確なラインを決めることが難しいテーマです。」

「期待しているのは、これをきっかけに企業の中の人に考え、動いてもらうことです。例えばある若い社員がこうした問題意識を持ったとしても、これまでは声を上げることはとても難しかった。こうしたガイドラインがあることで、社内でも「投資家は一般的にこう考えています」と言えるようになる。そうして議論が始まり、見直すきっかけの1つになるという効果も狙っています。」

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