監査法人のガバナンス・コード

金融庁は、3月にとりまとめられた「会計監査の在り方に関する懇談会」において、監査法人の組織的な運営のためのプリンシプルを確立するため、監査法人のガバナンス・コード」の策定についての検討が提言されたことを受け、「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」を設置しコードの策定に関する検討を進めています。

これまでの議論の詳細については下記サイトで公開されています。
http://www.fsa.go.jp/singi/governance_code/index.html

これまでの議論でまとめられた主な論点項目(案)、、、、(続く)

金融庁、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案を公表

有価証券報告書の記載内容に「経営方針」を加えるための改正案です。

http://www.fsa.go.jp/news/28/sonota/20161108-2.html

今回の改正案は、4月に公表された金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告で、企業と投資家との建設的な対話を促進していく観点から、現在、決算短信の記載内容とされている「経営方針」について、決算短信ではなく有価証券報告書において開示すべきことが提言されたことを受けたものです。

【改正による追加項目】
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
a 最近日現在において連結会社(連結財務諸表を作成していない場合には提出会社。)が経営方針・経営戦略等を定めている場合には、当該経営方針・経営戦略等の内容を記載すること。また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等がある場合には、その内容について記載すること。

企業と機関投資家の間の建設的な対話(エンゲージメント)

11月8日、金融庁の第10回「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」が企業と機関投資家の間の建設的な対話を議題として開催されました。

コーポレートガバナンス改革を「形式」から「実質」へと深化させていく上で、運用機関とアセットオーナーのそれぞれに求められる取組みが提言されました。運用機関の実効的なスチュワードシップ活動実施の課題として、1.運用機関のガバナンス、2.議決権行使結果の公表の充実、3.パッシブ運用におけるエンゲージメント等、4.運用機関の自己評価、アセットオーナーによる実効的なチェックとして、1.アセットオーナーによる実効的なスチュワードシップ活動の確保、2.アセットオーナーが運用機関に求める事項の明示、3.運用機関に対する実効的なモニタリング等が議論されました。

当日の資料は下記にて開示されています。
http://www.fsa.go.jp/singi/follow-up/siryou/20161108.html

2017.01.23 会社役員育成機構(BDTI)セミナー『クラスアクション元年-企業の備え』

seminar-%e8%ac%9b%e5%b8%ab-many-participants-long

全国の地方公共団体や独立行政法人国民生活センターが行っている消費生活相談窓口には、年間90万件を超える数の消費生活相談が寄せられています。消費者は、購入した物・サービスについて、多くの不満・苦情を抱え、さらには被害を訴えているのです。しかし、企業に対する損害賠償請求の裁判にまで発展する例はそのうちごくわずかです。一人一人の被害額が少額にとどまるため、勝つか負けるか分からない裁判のために高い弁護士費用と手間暇をかけるという消費者はほとんどいませんでした。こうして、精神的にも経済的にも消費者は裁判から遠ざけられてきました。

しかし、2016年10月1日、消費者裁判手続特例法が施行されました。これは、これまで泣き寝入りを余儀なくされてきた消費者の被害を集団的に回復するための裁判手続を新たに創設し、消費者被害の回復を容易にすることを究極の目的とする、消費者庁所管の法律です。これまでは顕在化していなかった消費者紛争が、裁判という形で、企業の正面玄関をノックすることがあり得るわけですが、実際、この制度の施行により、どの程度のインパクトがあるのでしょうか。

Brexitという、測定不能に大きいリスク

国民投票直後の混乱期に比べると、最近、この話題の登場場面は減ったように思えます。しかし、もちろん、このリスクがなくなったわけでも、小さくなったわけでもありません。あまりに不確実要素がありすぎて、企業は大きさを測ることも対処方針を定めることもできないでいるように思えます。

日本政府は、日系企業からの要望を取りまとめ、英国に対し、配慮を求めるメッセージを伝えました。要望は、次のような事項で負担が増大することを回避・軽減することです。

ISSの2017年の日本向け改定案: 「相談役・顧問制度を規定する定款変更への対応」

ISSは相談役・顧問制度に反対する主旨のポリシー提案を検討中です。同時に、経済産業省は同制度についての調査を行います。この動きは、私は個人として何年も前から相談役・顧問などを問題として指摘してきたことが間接的な結果ですが、実はISSには最近全然これについて話し合っておりません。むしろ、色々なところから「過去の『先輩』だった相談役・顧問の詳細(報酬も含めて)について何の開示もないし、善管注意義務を負わないので悪影響を与える場合もある」という認識がだんだんと高まりました。

「相談役・顧問制度を規定する定款変更への対応」

改定の背景

日本企業では、社長・会長経験者などが、退任後も相談役や顧問などの役職に就き、何年も会社に残ることが珍しくありません。相談役や顧問のような役職を持つ人々には、多くの場合、報酬が支払われ役員時代同様のオフィスや諸手当をはじめとする待遇も用意されます。しかしながら、相談役や顧問は取締役でないかぎり、その活動や報酬が開示されることはほとんどなく、また株主に対する受託者責任を負うこともありません。責任を問われることがない相談役や顧問が時として大きな影響力を持つことの弊害は、東芝の粉飾決算事件をきっかけに、改めて注目を集めています。