「日本は1990年代初めからの長期停滞から抜け出そうとしている。日本経済の研究を60年間ほど続けてきて、その成長と発展の過程を観察してきた結果、日本社会と日本経済の持続の可能性に楽観的信念を持っている。昨年の本欄でこの点にふれたがその後の1年間で日本経済に変化はあったもののこの点は変わらないと確信している。
デフレからの脱却はかなり進んできた。 しかし、経済成長率は安定していない。2014年度のGDPは年度前半に成長率は大きく低下したものの、後半に力強く回復して年度通じては0.9%のマイナス成長となった。今年度の経済は第2四半期に成長率がマイナス1.2%に落ち込み悪いスタートとなった。また、第3四半期の成長率は捗々しくなく横ばいかマイナス成長になろう。しかし、多くの予測によれば日本経済は再び回復して今後2年間は適度の成長を達成すると見込まれている。その後は2017年4月に予定されている消費税の10 %への引き上げによる、消費需要へのマイナスの影響がどれほど大きくなるかにかかっている。
次の2章で日本経済の回顧を国際経済との関連で行う。次いでアベノミクスの諸問題を長期的な経済成長、コーポレート・ガバナンス、エネルギー部門(電力を中心に)を中心として検討する。・・・」
パトリック教授バイオグラフィー(英文):
http://www8.gsb.columbia.edu/cbs-directory/detail/htp1