池尾教授から、また当たっていいるポイント: 「立派な経営者であれば、ガバナンス体制の有無にかかわらず、良い経営をして結果を残せるかもしれませんが、優れた経営者ほどガバナンスへの関心は高い、というのが私の経験上の結論です。きちんとした経営をしている経営者は、自分のしている意思決定が正当であることを、社外の人にも理解してもらう場を設けることを望むはずで、社外取締役や社外理事によるモニタリング体制の充実は理にかなっています。
――ガバナンス、パフォーマンス、マネジメントの関係をどのように考えていますか。
今年2月の会社法改正では、新たに監査等委員会設置会社という機関設計が認められました。もちろん、従来からの監査役設置会社も引き続き有効で、外部から批判を招かないような体制ができていれば問題ありません。さらに言えば、経営のパフォーマンスが良ければ、外部から文句を言われることも少なく、逆にパフォーマンスが振るわなければ、経営者が厳しい声に晒されるのも事実です。
北風政策ではない「太陽政策」である
――経営者の中には、コーポレートガバナンスは、行動を制約する枷(かせ)と捉える人も依然として多いようです。
このコードを検討するに当たって考えたことは、経営者は不善をなすので厳しく監視すべき、という「北風政策」ではありません。日本の経営者を、さぼっていたり、だらしなかったりするという風には全く思っていません。ただ、最善を尽くしていても、それを対外的に示せていないのではないか、という問題認識をもっています。
経営者が自分のコントロールできないことに起因する部分まで含めて、過度の結果責任を問われないような状況を用意するという「太陽政策」として、コーポレートガバナンスを推進しようというのが、今回のコードの狙いだということを、強調しておきたいと思います。」
http://diamond.jp/articles/-/71926?page=2