BDTIのアドバイザーである深尾京司氏著の「『失われた20年』と日本経済―構造的原因と再生への原動力の解明」は日経・経済図書文化賞を受賞

この本の第一章では、大企業の過剰貯蓄・流動性姿勢の要因としてはコーポレート・ガバナンスが十分に機能していない可能性があるのではないかと指摘しています。

「家計貯蓄の決定要因については、多くの実証研究が行われてきたが、企業貯蓄の決定要因については、あまり研究が行われてこなかった。家計貯蓄と企業貯蓄の代替性がそれほど高くないのだとすれば、企業が近年なぜこれほど貯蓄を行うのかについて、今後の研究が望まれる。企業貯蓄の大部分は、大企業によって行われている。第3章と第4章で示すように、大企業がその高い生産性にもかかわらず活発な国内投資を行わないこととあわせて考えると、大企業は資金余剰を設備投資ではなく、負債の返済(企業のレバレッジの急速な下落についてはSchaede[2008]を参照)や流動資産の蓄積に充てた可能性が高い。このような資金分配が経済全体からみて望ましいか否か、大企業において企業統治が十分に機能しているか否かも、今後の重要な研究課題であろう。」

実は、当法人(BDTI)の代表理事のニコラス・ベネシュは何年も前から深尾教授と常にいろいろな有意義な意見交換をしてきました。本書の前書きに以下のように書いていただきました:

「筆者はまた、在日米国商工会議所で2010年度に行われた成長戦略タスクフォース・プロジェクトにスタンフォード大学の研究者らと一緒に参加し、日本の成長戦略に関する報告書(深尾・権[2010])をまとめたが、これは日本を経済停滞から脱出させる方策について広い視野から考察する機会を与えてくれた。特にタスクフォース座長のニコラス・E・ベネシュ博士からは、多くのご指摘を頂いた。」

深尾教授は実に優れた学者です。おめでとうございます!

日本経済研究センターの発表 http://www.jcer.or.jp/bunka/bunka.html

「『失われた20年』と日本経済―構造的原因と再生への原動力の解明」 について
http://toyokeizai.net/articles/-/9275

 

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