2011年の議決進行~議案否決が築く投資家と企業との良好な関係 (野村證券報告書)

(サマリーの抜粋)  「高まるコミュニケーション拡充の重要性に対する認識」

「普通決議の議案が否決され、意思疎通の重要性がさらに高まる

11 年6 月に行われた株主総会は、大多数の企業で平穏に終了した。しかし、役員(社外監査役)選任議案において否決事例が見られた。このことは、企業が、投資家との双方向の

コミュニケーションの重要性を強く意識することにつながると考えられる。

 12 年は役員報酬関連議案に対する議決権行使基準の設定、改定が焦点

11 年6 月の株主総会終了後に行った国内機関投資家の議決権行使担当者などへのインタビューでは、今後も引き続き社外役員の独立性に注目するとの声が多かった。また、退職慰労金を含む役員報酬関連に関し、議決権行使基準の改定や、新しい基準の設定を検討したいとの声が聞かれた。我が国の役員報酬関連に関し機関投資家が問題点として挙げるのは「報酬と業績との関連が薄い(固定報酬の割合が高い)」、「報酬額の決定プロセスが不明確な事例が少なくない」の2 点が中心であり、こうした問題点を考慮した議決権行使基準の改定、新設の動きが今後進むかどうかが注目される。

反対の多かった議案「社外役員選任」、「役員退職慰労金」、「買収防衛策」

3 月決算のNOMURA400 構成企業338 社が公表した11 年6 月株主総会議案に対する賛否の結果を見ると、企業業績が全体的に回復傾向にあったのに加え、3 月に発生した東日本大震災という特殊要因に配慮した議決権行使を行う投資家が見られたことから、最も議案数の多い役員選任議案の反対比率は若干低下した。しかし、社外役員のうち外見上独立性が低いと見られる候補者に対する選任議案や、役員退職慰労金関連、買収防衛策関連への反対比率はむしろ上昇した。また、一部を除き株主提案に対する賛成比率は低い
ものに留まった。

機関投資家、個人投資家の議決権行使における特徴

機関投資家が公表している議決権行使結果を見ると、国内系と外資系で傾向が大きく違うわけではないが、社外役員の独立性や役員報酬関連についての見方は、外資系の方がより厳しいように感じられる。さらに、個人投資家の議決権行使結果を見ると、10 年、11 年と役員選任議案に対する反対比率が役員報酬・賞与関連に次いで高くなっており、経営のパフォーマンスや不祥事などを厳しく評価するようになってきたと考えられる。個人投資家とのコミュニケーション拡充にも力を注ぐ必要があると考える。」

報告書: データライブラリーの「資本市場とIR」のフォルダーにあります。(登録されているユーザーはアクセス出来ます。)

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